12 前立腺とEDの深い関係

ED克服の最前線「性欲はガソリン、精力はエンジン」令和版 (フリーエディション)

繰り返しになりますが、ED（勃起不全・勃起障害）は仕事上の悩みや家庭内の問題等によるストレスが引き金となる「心因性」と、体そのものになんらかの原因がある「器質性」とに大別され、さらにその複合した形、あるいは投薬されている薬剤などによる「混合性」があります。

「器質性」には、勃起と深く関わる血管にダメージを与える糖尿病、高血圧症、脂質異常症（高脂血症）などの生活習慣病の他に、直腸や膀胱、前立腺といった骨盤内にある臓器への外科手術によって、勃起に関係する神経が傷つけられたり、切除されたりすることが原因となる場合もあります。特に前立腺の近くには勃起に関係する神経が通っています。
前立腺は「膀胱の前にある腺」という意味で名付けられた男性特有の器官です。栗の実ほどの大きさで、その中を尿道が通っています。

前立腺のもっとも大切な働きは、精液を構成する成分の一つである前立腺液を尿道に分泌することです。前立腺液は精子を運ぶとともに、精子に栄養を与える役目を担っています。また、弱い酸性である膣の中で、精子の活動が衰えないようにする保護液としての機能もあります。このように、前立腺は生殖機能に関係する器官ですから、20歳頃をピークに、30歳くらいまで、睾丸から出る男性ホルモンの作用で働きます。

その前立腺も、生殖年齢を過ぎ、その役目を終えると、肥大して尿道を塞いだり、癌を発生させたりして健康を脅かすことがあります。「前立腺肥大」という病気は、40歳頃から始まり、60歳代では70％、80歳以上では約80％の男性にみられる典型的な加齢症状の一つで、前立腺の尿道周辺部の組織が肥大するもので、一種の良性腫瘍です。

ここの前立腺の肥大が進行して様々な排尿障害を呈する病態が「前立腺肥大症」です。これは前立腺の肥大によって尿道が圧迫されることによって起こります。代表的なものとしては「頻尿」「残尿感」「排尿痛」ですが、排尿に時間がかかる、溜まっているのに出せない、勢いが弱いなどの「尿が出にくくなる症状」があります。この二つの症状を総称して「下部尿路症状」と呼びます。

下部尿路症状がEDを引き起こす危険度は、糖尿病の約２倍と言われています。下部尿路症状の原因の一つである前立腺肥大症を治療すると、勃起機能が改善することが明らかにされています。治療には、薬物療法や手術が有効で、回復した勃起機能をより確かなものにするためには、シアリス、バイアグラ、レビトラなどのED治療薬が役立ちます。

健康な性生活は、男としての自信を確かめるための、もっともわかりやすい方法です。性生活の満足度は、仕事にも私生活にも大きく影響します。EDの治療で、もっとも一般的な方法は治療薬を飲むことです。ED治療薬は、陰茎の勃起を助け、持続させる薬ですから、体に問題がなく、精神的な原因で起こる心因性EDの患者さんには、特に高い効果を示します。

コラム

夜中のトイレとEDの関係

夜中に１回以上トイレに起きる日本人男性は50歳以上で既に過半数、70歳以上になると３回以上トイレに起きる人は３割を超えるそうです。夜中のトイレが増えると、なぜEDの疑いがあるのでしょう。それは男性ホルモンが影響しているからです。

男性ホルモンは、→この続きはAmazonか、院内受付（新宿・渋谷）で手に入る書籍でご覧ください。

The forefront of overcoming ED “Libido is gasoline, vitality is the engine, Reiwa version

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