バイアグラ 医薬品情報
医療用医薬品 : バイアグラ
医薬品情報
総称名 | バイアグラ |
---|---|
一般名 | シルデナフィルクエン酸塩 |
欧文一般名 | Sildenafil Citrate |
製剤名 | シルデナフィルクエン酸塩錠・シルデナフィルクエン酸塩口腔内崩壊フィルム |
薬効分類名 | 勃起不全治療剤 |
薬効分類番号 | 2590 |
ATCコード | G04BE03 |
KEGG DRUG |
D02229 シルデナフィルクエン酸塩
|
JAPIC | 添付文書(PDF) |
添付文書情報2024年7月 改訂(第8版)
1. 警告
2. 禁忌
次の患者には投与しないこと
商品情報
3.組成・性状
薬価は保険適用の場合。当院は自由診療のため料金表を参照。本製剤について、保険適用の対象となるのは、勃起不全による男性不妊の治療を目的として一般不妊治療におけるタイミング法において用いる場合であることから、令和4年3月25日 保医発0325第7号 厚生労働省保険局医療課長通知「不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて」の要件を満たした場合に限り算定できる。
販売名 | 欧文商標名 | 製造会社 | YJコード | 薬価 | 規制区分 |
---|---|---|---|---|---|
バイアグラ錠25mg | VIAGRA Tablets | ヴィアトリス製薬 | 2590018F1020 | 914.6円/錠 | 処方箋医薬品 |
バイアグラ錠50mg | VIAGRA Tablets | ヴィアトリス製薬 | 2590018F2026 | 1214.8円/錠 | 処方箋医薬品 |
バイアグラODフィルム25mg | VIAGRA OD Film | ヴィアトリス製薬 | 2590018F3022 | 974.6円/錠 | 処方箋医薬品 |
バイアグラODフィルム50mg | VIAGRA OD Film | ヴィアトリス製薬 | 2590018F4029 | 1404.1円/錠 | 処方箋医薬品 |
4. 効能または効果
勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)
5. 効能または効果に関連する注意
5.1 投与に際しては、勃起不全及びその基礎疾患の診断のため、既往歴の調査や諸検査を行い、客観的な診断に基づき臨床上治療が必要とされる患者に限定すること。
5.2 本剤は催淫剤又は性欲増進剤ではない。
6. 用法及び用量
通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mg〜50mgを性行為の約1時間前に経口投与する。
高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者及び重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者については、本剤の血漿中濃度が増加することが認められているので、25mgを開始用量とすること。
1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。
高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者及び重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者については、本剤の血漿中濃度が増加することが認められているので、25mgを開始用量とすること。
1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。
7. 用法及び用量に関連する注意
食事と共に本剤を投与すると、空腹時に投与した場合に比べ効果発現時間が遅れることがある。[16.2.1参照]
8. 重要な基本的注意
8.2 4時間以上の勃起の延長又は持続勃起(6時間以上持続する痛みを伴う勃起)が外国市販後有害事象で少数例報告されている。持続勃起に対する処置を速やかに行わないと陰茎組織の損傷又は勃起機能を永続的に損なうことがあるので、勃起が4時間以上持続する症状がみられた場合、直ちに医師の診断を受けるよう指導すること。
8.3 臨床試験において、めまいや視覚障害が認められているので、自動車の運転や機械の操作に従事する場合には注意させること。
8.4 本剤投与後に急激な視力低下又は急激な視力喪失があらわれた場合には、本剤の服用を中止し、速やかに眼科専門医の診察を受けるよう、患者に指導すること。[15.1.1参照]
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以前にある患者
9.1.2 陰茎の構造上欠陥(屈曲、陰茎の線維化、Peyronie病等)のある患者
性行為が困難であり痛みを伴う可能性がある。
9.1.3 持続勃起症の素因となり得る疾患(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病等)のある患者
9.1.4 PDE5阻害薬又は他の勃起不全治療薬を投与中の患者
併用使用に関する安全性は確立していない。
9.1.5 出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者
ニトロプルシドナトリウム(NO供与剤)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。
9.1.6 多系統萎縮症(Shy-Drager症候群等)のある患者
本剤の血管拡張作用により、原疾患による低血圧を増悪させることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者
低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。血漿中濃度が増加することが認められている。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
9.3.2 肝機能障害のある患者(重度の肝機能障害のある患者を除く)
低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。血漿中濃度が増加することが認められている。[16.6.2参照]
9.8 高齢者
低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。高齢者では本剤のクリアランスが低下する。[16.6.3参照]
10. 相互作用
相互作用序文
本剤は主にチトクロームP450(CYP)3A4によって代謝される。[16.4参照]
薬物代謝酵素用語
CYP3A4
10.1 併用禁忌
併用により、降圧作用を増強することがある1)2)3)4)。 | NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する。 | |
(アンカロン)(経口剤)
[2.8参照]
|
アミオダロン塩酸塩によるQTc延長作用が増強するおそれがある。 | 機序不明。 類薬とアミオダロン塩酸塩の併用により、QTc延長があらわれるおそれがあるとの報告がある5)。 |
[2.9参照]
|
併用により、症候性低血圧を起こすことがある6)。 | リオシグアト投与によりcGMP濃度が増加し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの細胞内濃度が増大し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。 |
10.2 併用注意
リトナビル、エリスロマイシン、シメチジンとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、最高血漿中濃度(Cmax)がそれぞれ3.9倍、2.6倍、1.5倍に増加し、血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)がそれぞれ10.5倍、2.8倍、1.6倍に増加した7)8)9)10)11)。 低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。 |
代謝酵素阻害薬によるクリアランスの減少 | |
本剤の血漿中濃度が低下する。 | 代謝酵素誘導によるクリアランスの増加 | |
降圧剤
|
アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告がある3)12)。 | 本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。 |
ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある13)。 降圧作用が増強することがあるので、低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。 |
本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。 | |
併用により降圧作用が増強するおそれがある。 | 本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。 |
11. 副作用
11.2 その他の副作用
1%以上 | 0.1〜1%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 | |
循環器 | 血管拡張(ほてり、潮紅)(5.78%) | 胸痛、動悸、頻脈 | 高血圧、不整脈、不完全右脚ブロック、末梢性浮腫 | 心筋梗塞注)、低血圧、失神 |
精神・神経系 | 頭痛(3.87%) | めまい、傾眠、昏迷 | 異常感覚、下肢痙攣、記憶力低下、興奮、緊張亢進、錯乱、思考異常、神経炎、神経過敏、神経症、不安、不眠症、無気力 | |
肝臓 | AST増加 | ALT増加、LAP上昇、LDH増加、血中トリグリセリド増加、γ-GTP増加、血清リン脂質上昇、血中アミラーゼ増加、血中アルブミン減少、血中ビリルビン増加、総蛋白減少 | ||
消化器 | 悪心、胃腸障害、口渇、消化不良、腹痛 | おくび、胃炎、胃不快感、下痢、口唇乾燥、舌障害、白舌、腹部膨満、便秘、嘔吐、嚥下障害 | ||
泌尿・生殖器 | 陰茎痛、射精障害、朝立ちの延長、半勃起持続 | 勃起の延長、持続勃起、尿路感染、前立腺疾患 | ||
呼吸器 | 鼻炎 | 呼吸障害、鼻閉、咽頭炎、喘息 | 鼻出血、気道感染症、副鼻腔炎 | |
筋・骨格系 | 関節痛、筋肉痛 | 骨痛、背部痛 | ||
皮膚 | 発疹 | そう痒症、眼瞼そう痒症、脱毛症、男性型多毛症、発汗、皮膚乾燥、皮膚障害、紅斑 | ||
血液 | ヘマトクリット減少、ヘマトクリット増加、ヘモグロビン減少、リンパ球減少症、リンパ球増加症、好酸球増加症、赤血球減少症、赤血球増加症、白血球増加症 | |||
感覚器 | 眼充血、結膜炎、彩視症、視覚障害 | 眼乾燥、眼痛、屈折障害、光視症、味覚異常、味覚消失、流涙異常、羞明 | 霧視、視力低下、網膜出血、網膜静脈閉塞、突発性難聴 | |
その他 | CK増加、疼痛、熱感 | BUN増加、インフルエンザ症候群、リンパ節症、血中ナトリウム減少、血中リン増加、体重増加、血中尿酸増加、ウロビリノーゲン陽性、尿中ブドウ糖陽性、尿中赤血球陽性、尿中蛋白陽性、疲労、無力症 | 過敏性反応、感染症 |
13. 過量投与
13.1 処置
特異的な解毒薬はない。なお、本剤は血漿蛋白結合率が高く、尿中排泄率が低いため腎透析によるクリアランスの促進は期待できない。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤交付時の注意
<製剤共通>
14.1.1 本剤には性行為感染症を防ぐ効果はない。
<錠剤>
14.1.2 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
<ODフィルム>
14.1.3 アルミ包装をめくり、薬剤(フィルム)を取り出して服用するよう指導すること。
14.1.4 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
15. その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において本剤を含むPDE5阻害薬投与中に、まれに、視力低下や視力喪失の原因となりうる非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)の発現が報告されている。これらの患者の多くは、NAIONの危険因子[年齢(50歳以上)、糖尿病、高血圧、冠動脈障害、高脂血症、喫煙等]を有していた。
外国において、NAIONを発現した45歳以上の男性を対象として実施された自己対照研究では、PDE5阻害薬の投与から半減期(t1/2)の5倍の期間内(シルデナフィルの場合約1日以内に相当)は、NAION発現リスクが約2倍になることが報告されている14)。[8.4参照]
外国において、NAIONを発現した45歳以上の男性を対象として実施された自己対照研究では、PDE5阻害薬の投与から半減期(t1/2)の5倍の期間内(シルデナフィルの場合約1日以内に相当)は、NAION発現リスクが約2倍になることが報告されている14)。[8.4参照]
15.1.2 薬剤との因果関係は明らかではないが、外国において本剤を含むPDE5阻害薬投与後に、まれに、痙攣発作の発現が報告されている。
15.1.3 外国における市販後の自発報告(100mg投与例を含む)において、心原性突然死、心筋梗塞、心室性不整脈、脳出血、一過性脳虚血発作と高血圧などの重篤な心血管系障害の有害事象(因果関係不明のものも含む)が本剤投与後に発現している。すべてではないが、これらの多くが心血管系のリスクファクターをすでに有している患者であった。多くの事象が、性行為中又は性行為後に認められ、少数例ではあるが、性行為なしに本剤投与後に認められたものもあった。その他は、本剤を投与し性行為後の数時間から数日後に報告されている。これらの症例について、本剤、性行為、本来患者が有していた心血管系障害、これらの要因の組み合わせ又は他の要因に直接関連するかどうかを確定することはできない。また、精神・神経系(発作、不安)、泌尿・生殖器(勃起の延長、持続勃起、血尿)、眼(複視、一時的な視力喪失/視力低下、眼の充血、眼の灼熱感、眼球の腫脹/圧迫感、眼圧の上昇、網膜血管の障害又は出血、硝子体剥離/牽引、黄斑周囲の浮腫)の有害事象が報告されている。
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 ラットの経口1ヵ月毒性試験では45及び200mg/kg群で腸間膜動脈炎がみられたとの報告があるが、6ヵ月試験及びがん原性試験では認められなかった。また、ビーグル犬の経口長期毒性試験(6ヵ月、12ヵ月)の最高用量50mg/kg群において、雄動物に特発性若年性多発性動脈炎がみられたとの報告がある。しかし、これらの病変のヒトへの外挿性は低いものと判断されている。
15.2.2 動物実験で、メラニン色素に富む網膜との親和性が高いとの報告があるので、長期間投与する場合には眼科的検査を行うなど注意して投与すること。
16. 薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人20名にシルデナフィル25、50、100及び150mg注)を単回経口投与した時の最高血漿中濃度(Cmax)はそれぞれ105、192、425及び674ng/mLであった。0時間から最終定量可能時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUClast)はそれぞれ231、504、1148及び1977ng・hr/mLであり、投与量に比例して増加した。血漿中のシルデナフィルは終末相における消失半減期(t1/2)3.23〜3.31時間で速やかに消失した15)。
投与量(mg) | Tmax(hr) | Cmax(ng/mL) | AUClast(ng・hr/mL) | AUC∞(ng・hr/mL) | t1/2(hr) |
25 | 0.8±0.6 | 105±62 | 231±103 | − | − |
50 | 0.9±0.4 | 192±102 | 504±202 | − | − |
100 | 0.8±0.4 | 425±147 | 1148±274 | 1190±301 | 3.31±0.81 |
150 | 0.9±0.5 | 674±239 | 1977±733 | 2044±721 | 3.23±0.73 |
16.1.2 連続投与
健康成人6名にシルデナフィル50及び100mg注)を1日1回7日間反復経口投与した時のCmin(投与後24時間値)は試験期間中を通して定量限界値(1ng/mL)付近であった。Tmax及びt1/2は7日間の反復投与により変化はしなかった16)。
16.1.3 生物学的同等性
健康成人男性20例に、クロスオーバー法によりバイアグラODフィルム50mg(水なし又は水で服用)1枚とバイアグラ錠50mg(標準製剤として水で服用)1錠(いずれもシルデナフィルとして50mg)をそれぞれ空腹時単回経口投与したときの、シルデナフィルの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは以下の図及び表の通りであった。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、バイアグラODフィルム50mgは、水なし又は水で服用した場合のいずれにおいても、バイアグラ錠50mgと生物学的同等性が確認された17)。
また、バイアグラODフィルム25mgは、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイドライン(平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号)」に基づき、バイアグラODフィルム50mgを標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた18)。
また、バイアグラODフィルム25mgは、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイドライン(平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号)」に基づき、バイアグラODフィルム50mgを標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた18)。
(1)水なしで服用
剤形及び投与量 | 判定パラメータ | 参考パラメータ | ||
Cmax(ng/mL) | AUC14(ng・hr/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) | |
バイアグラODフィルム50mg(水なしで服用) | 234±73 | 642±184 | 1.2±0.8 | 2.10±0.33 |
バイアグラ錠50mg(水で服用) | 245±99 | 606±211 | 0.9±0.9 | 2.06±0.32 |
(2)水で服用
剤形及び投与量 | 判定パラメータ | 参考パラメータ | ||
Cmax(ng/mL) | AUC14(ng・hr/mL) | Tmax(hr) | t1/2(hr) | |
バイアグラODフィルム50mg(水で服用) | 236±129 | 643±327 | 1.1±0.7 | 2.04±0.24 |
バイアグラ錠50mg(水で服用) | 227±112 | 632±292 | 1.2±0.8 | 2.06±0.24 |
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人16名にシルデナフィル50mgを食後又は空腹時に単回経口投与し、体内動態に及ぼす食事の影響を検討した。シルデナフィルのTmaxは食後及び空腹時投与でそれぞれ3.0及び1.2時間であり、食後投与により吸収速度が有意に減少し、Tmaxが1.8時間延長することが認められた。Cmaxは食後投与で149ng/mL、空腹時投与で255ng/mLであり、AUC∞はそれぞれ697.5及び806.2ng・hr/mLであった。食後投与によりCmax及びAUC∞は空腹時に比べてそれぞれ42%及び14%有意に減少した19)。[7.参照]
16.4 代謝
16.5 排泄
16.5.1 健康成人6名にシルデナフィル10、25、50、75、100及び150mg注)を単回経口投与した時の投与後48時間までの投与量に対する未変化体の累積尿中排泄率は、0.3〜0.6%と僅かであり、投与量に関係なくほぼ一定の値を示した21)。
16.5.2 健康成人6名にシルデナフィル50又は100mg注)を1日1回7日間反復経口投与した時の投与量に対する未変化体の24時間毎の尿中排泄率は0.2〜0.9%の間で推移し、単回投与時と同程度であり反復投与による変化はなかった16)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
16.6.2 肝機能障害患者
16.6.3 高齢者
健康高齢者(65歳以上)15名及び健康若年者(18〜45歳)15名を対象にシルデナフィル50mgを単回経口投与した時のTmaxは高齢者及び若年者でそれぞれ1.2及び1.1時間となりほぼ同様であった。Cmaxは高齢者で302.5ng/mL、若年者で178.2ng/mLであり、高齢者は若年者より60〜70%高い値を示した。AUC∞は高齢者及び若年者でそれぞれ1077.0及び586.0ng・hr/mLとなり、高齢者が若年者の約2倍高い値を示した。t1/2は高齢者で3.8時間、若年者で2.6時間であり、高齢者において長かった。高齢者ではクリアランスが有意に減少することが示された22)(外国人データ)。[9.8参照]
注)本剤の日本での承認用量は1日1回25mg〜50mgである。
17. 臨床成績
17.1 有効性及び安全性に関する試験
主として臨床効果はIIEF(International Index of Erectile Function:国際勃起機能スコア)質問票(15質問)のうち、挿入の頻度に関する質問「ここ4週間、性交を試みた時、何回挿入することができましたか?」及び勃起の維持に関する質問「ここ4週間、性交中、挿入後何回勃起を維持することができましたか?」により行い、以下のスコアで評価した。
スコア | |
性交の試み一度もなし | 0 |
毎回又はほぼ毎回(10回中9回以上) | 5 |
おおかた毎回(半分よりかなり上回る回数:10回中7回程度) | 4 |
時々(10回中5回) | 3 |
たまに(半分よりかなり下回る回数:10回中3回程度) | 2 |
全くなし又はほとんどなし(10回中1回以下) | 1 |
国内の後期第II相試験、欧州及び米国の第III相試験では、「挿入の頻度」及び「勃起の維持」ともに全体として群間に有意差が認められた。更に、本剤の各用量群とプラセボ群の間に有意差が認められた23)。
プライマリーエンドポイント | 統計量 | 実施国 | 投与前 | 投与後 | ANCOVA | ||
プラセボ群 | シルデナフィル群 | ||||||
25mg | 50mg | ||||||
挿入の頻度 | 平均値±SE(例数) | 日本 | 1.65±0.08(243) | 2.17±0.19(60) | 3.52++±0.19(60) | 3.82++±0.19(58) | p<0.001 |
平均値±SE(例数) | 欧州 | 2.20±0.08(481) | 2.17±0.14(117) | 3.18+±0.14(121) | 3.65+±0.14(123) | p<0.001 | |
平均値±SE(例数) | 米国 | 1.98±0.07(481) | 2.31±0.15(190) | 3.27+±0.19(95) | 3.65+±0.19(100) | p<0.001 | |
勃起の維持 | 平均値±SE(例数) | 日本 | 1.30±0.06(243) | 1.72±0.19(60) | 2.97++±0.19(60) | 3.53++±0.19(58) | p<0.001 |
平均値±SE(例数) | 欧州 | 1.83±0.07(474) | 1.96±0.15(115) | 2.99+±0.14(119) | 3.40+±0.14(122) | p<0.001 | |
平均値±SE(例数) | 米国 | 1.58±0.06(480) | 2.20±0.16(189) | 3.15+±0.20(95) | 3.51+±0.20(100) | p<0.001 |
18. 薬効薬理
18.1 作用機序
シルデナフィルは、陰茎海綿体のPDE5を選択的に阻害し、神経及び海綿体内皮細胞由来のNO刺激により産生された陰茎海綿体内のcGMP分解を抑制することにより、陰茎海綿体平滑筋を弛緩させ、血流量が増加し、陰茎を勃起、維持させる。
18.2 PDE5阻害作用
ヒト陰茎海綿体のcGMP分解酵素であるPDE5の活性を、選択的かつ競合的に阻害した(IC50値:3.5nmol/L)24)。
18.3 陰茎海綿体内cGMP増大作用
NO供与体であるニトロプルシドナトリウム(SNP)との併用により、cAMP量に影響を及ぼすことなく、摘出ウサギ海綿体内のcGMP量を増大した(EC50値:0.43〜0.52μmol/L)25)。
18.4 海綿体弛緩増強作用
摘出ヒト海綿体の経壁神経刺激による弛緩反応を10nmol/L以上で増強し、100nmol/L以上で弛緩反応の持続時間を延長した。また、SNP及び海綿体内皮細胞に作用してNOを遊離させるメサコリンによる摘出ウサギ海綿体の弛緩反応を10nmol/L以上で増強した。
18.5 海綿体内圧増強作用
血圧及び心拍数に影響を及ぼすことなく、骨盤神経刺激及びSNPによる麻酔イヌの陰茎海綿体内圧の上昇を増強した(ED50値:12.0μg/kg 神経刺激、16.2μg/kg SNP;静脈内投与)26)。
19. 有効成分に関する理化学的知見
19.1. シルデナフィルクエン酸塩
一般的名称 | シルデナフィルクエン酸塩 |
---|---|
一般的名称(欧名) | Sildenafil Citrate |
化学名 | 1-[[3-(6,7-dihydro-1-methyl-7-oxo-3-propyl-1H-pyrazolo[4,3-d]pyrimidin-5-yl)-4-ethoxyphenyl]sulfonyl]-4-methylpiperazine monocitrate |
分子式 | C22H30N6O4S・C6H8O7 |
分子量 | 666.70 |
物理化学的性状 | 白色の結晶性の粉末である。 N,N-ジメチルアセトアミドに溶けやすく、水又はメタノールに溶けにくく、アセトニトリル、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。 |
22. 包装
医療保険適用品
<バイアグラ錠25mg>
20錠[10錠(PTP)×2]
<バイアグラ錠50mg>
20錠[10錠(PTP)×2]
<バイアグラODフィルム25mg>
20枚[10枚×2]
<バイアグラODフィルム50mg>
20枚[10枚×2]
薬価未収載品
<バイアグラ錠25mg>
20錠[10錠(PTP)×2]
<バイアグラ錠50mg>
20錠[10錠(PTP)×2]
100錠[10錠(PTP)×10]
<バイアグラODフィルム25mg>
20枚[10枚×2]
<バイアグラODフィルム50mg>
20枚[10枚×2]
50枚[10枚×5]
23. 主要文献
- 社内資料:トリニトログリセリンとの薬物相互作用の検討
- 社内資料:一硝酸イソソルビドとの薬物相互作用の検討
- Webb DJ,et al., Am J Cardiol., 83 (5A), 21-28, (1999)
- Webb DJ,et al., J Am Coll Cardiol., 36 (1), 25-31, (2000) »PubMed »DOI
- Morganroth J,et al., Am J Cardiol., 93 (11), 1378-1383, (2004) »PubMed »DOI
- Galie N,et al., Eur Respir J., 45 (5), 1314-1322, (2015) »PubMed »DOI
- Wilner K,et al., Br J Clin Pharmacol., 53 (Suppl.1), 31S-36S, (2002) »PubMed »DOI
- 社内資料:エリスロマイシンとの薬物相互作用の検討
- Zusman RM,et al., Am J Cardiol., 83 (5A), 35-44, (1999)
- 社内資料:リトナビルとの薬物相互作用の検討
- Muirhead GJ,et al., Br J Clin Pharmacol., 50 (2), 99-107, (2000) »PubMed
- 社内資料:アムロジピンとの薬物相互作用の検討
- 社内資料:ドキサゾシンとの薬物相互作用の検討−2試験
- Campbell UB,et al., JOURNAL OF SEXUAL MEDICINE., 12 (1), 139-151, (2015) »PubMed
- 社内資料:日本人健康成人を対象とした単回投与試験−用量相関性に関する検討
- 社内資料:日本人健康成人を対象とした反復投与試験
- 社内資料:生物学的同等性試験1
- 社内資料:生物学的同等性試験2
- 社内資料:日本人健康成人を対象とした単回投与試験−食事の影響に関する検討
- Hyland R,et al., Br J Clin Pharmacol., 51 (3), 239-248, (2001) »PubMed
- 社内資料:日本人健康成人を対象とした単回投与試験
- Muirhead GJ,et al., Br J Clin Pharmacol., 53 (Suppl.1), 21S-30S, (2002)
- 白井將文ほか, 西日本泌尿器科, 62 (6), 373-382, (2000)
- Ballard SA,et al., J Urol., 159 (6), 2164-2171, (1998) »PubMed
- Jeremy JY,et al., Br J Urol., 79 (6), 958-963, (1997) »PubMed
- Carter AJ,et al., J Urol., 160 (1), 242-246, (1998) »PubMed
24. 文献請求先及び問い合わせ先
文献請求先
ヴィアトリス製薬合同会社 メディカルインフォメーション部
〒106-0041 東京都港区麻布台一丁目3番1号
電話:フリーダイヤル 0120-419-043
製品情報問い合わせ先
ヴィアトリス製薬合同会社 メディカルインフォメーション部
〒106-0041 東京都港区麻布台一丁目3番1号
電話:フリーダイヤル 0120-419-043
25. 保険給付上の注意
本製剤について、保険適用の対象となるのは、勃起不全による男性不妊の治療を目的として一般不妊治療におけるタイミング法において用いる場合であることから、令和4年3月25日 保医発0325第7号 厚生労働省保険局医療課長通知「不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて」の要件を満たした場合に限り算定できる。
26. 製造販売業者等
26.1 製造販売元
ヴィアトリス製薬合同会社
東京都港区麻布台一丁目3番1号
ED/AGAご予約・ご相談
ご予約、使用薬の変更、経過観察などの目的でご利用頂けます。
ご予約 » 予約フォーム
時間短縮ご予約 » 問診票付予約フォーム
遠隔診療 » オンライン診療/電話診療(初診・再診)
ご相談 » ご相談(セカンドオピニオン含)
ED治療薬の安全使用チェック » ED治療薬専用フォーム
AGA治療薬の安全使用チェック » AGA治療薬専用フォーム
EDセルフチェック セルフチェック日本語版EHS
新宿ウエストクリニック院長
安心の医師略歴・著書、メディア履歴臨床経験豊富な当院医師の論文
Dr. 入江
年中無休 診療時間・予約不要 すぐに処方します
10〜11時 / 12〜18時(土日祝) 10〜11時 / 12〜20時(月〜金)祝日は曜日によらず18時迄 | 詳しくは » 診療状況