ED治療と医療用漢方
バイアグラなどED治療薬が、持病や併用薬との条件まどで使えないとき、漢方薬を試すことができます。漢方薬にはEDの改善に直接的な効果があるとされているものはありません。しかし性的能力を含めた身体の全体的な機能向上を促すのが目的のため、結果的に勃起力の改善につながることが出来る場合があります。
医療用漢方とED改善
漢方薬は、EDの症状を薬によって直接的に治そうとする西洋医学とはアプローチが異なります。漢方薬はEDが生まれる原因となる心身の不調を整え、EDが起きてから対処するのではなく、EDそのものを起きにくくすることが主な目的です。代表的なものに八味地黄丸があります。
漢方以外の選択肢
EDは加齢にともなう男性ホルモンの分泌の減少がひとつの原因です。下降し続ける男性ホルモンを外部から塗布薬として補充することで、勃起に関連する筋肉や血管をはじめ、脳中枢の性衝動などのリハビリが期待できます。ED薬のように直接的な効果はありませんが、ED薬が使えない、効きにくい方の勃起のベースづくりとしての使用に意義があります。
グローミン(男性ホルモン塗布薬) |
漢方が捉えるEDの状態とは
男性機能を司る「腎」
漢方医学では身体の働きを5つに分けます。これを五臓と呼び、肝、心、脾、肺、腎から成ります。(西洋医学での臓器の分類と必ずしも合致しません)。このうち性的機能は腎と深い関わりがあります。腎は成長、発育、生殖に関する働きをもつエネルギー(精)の元です。
「腎」の衰えとED
漢方の古典「黄帝内経」によれば、男性の性的機能は16才で精通、24で漲り、32で充実する。40から下降が始まって、56で腎の貯えが失われ衰退、64で腎が司る歯も髪も抜け落ちる、と8の倍数で身体が変化するとしています。「腎」が持つ「腎精」は、親から譲り受けるもので加齢と共に減り続けます。このように腎の機能が低下したり不足している状態を「腎虚」と呼びます。
八味地黄丸で「腎虚」から抜け出す
八味地黄丸は「腎虚」の症状に対して用いられる代表的な漢方です。全身を温め、泌尿器や生殖器・腎臓の機能を高めることは「温補腎陽」と呼ばれ、この薬の重要な作用です。泌尿器や生殖器・腎臓の機能低下によるトラブルの改善を目的とし処方されます。EDの他にも尿トラブル、冷え、口渇、目のかすみなどに対しても効能を持ちます。
腎虚以外の要因
五臓のうち腎以外でも、強いストレスなどにより自律神経を司る「肝」の失調、心臓や脳・神経系を司る「心」の不調で、EDは起こり得ます。EDには糖尿病や加齢などが原因の器質性ED、ストレスや不安などで発症する心因性ED、およびこれらが組合さった混合型EDに大別されます。「腎虚」が原因のEDは主に器質性EDに分類できそうですが、心因性EDに関連するのはこれら「肝」と「心」の乱れが関わっています。
医療用漢方とは
漢方薬には多くの種類がありますが、主な148種類は「医療用漢方製剤」と呼ばれ、厚生労働省から認可をうけた医療用医薬品です。生薬を顆粒のかたちに抽出し、飲みやすく作られています。煎じて使用する手間がありません。漢方というと、動植物などそのままの姿を想像する方もいるかもしれませんが、医療用漢方の見た目は一般的な薬をなんら変わりません。
また医師は承認基準(一般用漢方製剤製造販売承認基準)内の最大量まで処方を行うことが出来ます。これを「満量処方」と呼び、ドラッグストアなどに並ぶ漢方とは異なります。市販されている漢方薬は、副作用などを避ける理由で満量処方ではないものが殆どです。当院ではご本人の状況に応じて満量までの処方を行います。
ED治療を漢方でゆっくり改善
漢方薬は西洋医学の薬(バイアグラなど)のようにすぐに効果が現れるわけではなく、効果にも大きな個人差があります。ただし長期的に考えると、心身のバランスが整うことでEDの症状の改善を期待することができます。禁忌薬を使用せざるを得ずED治療薬が使えない方、EDを抱える状態を元から改善したいと考えている方は、医療用漢方(八味地黄丸)を試してみて下さい。
漢方薬と精力剤
男性の性生活をサポートするとする精力剤(強壮剤)は、原材料が漢方薬と(一般的な医薬品とも)重なるものもあり混同されることがあります。しかし漢方薬は内容量によって、医師からの処方が必要な医療用医薬品と、である一方、精力剤はドラッグストアなどで直接購入できるサプリメント(食品)や第2類・3類医薬品の総称です。これらはEDに対して直接的な効果があるとは認められていないものの、それを摂取しているとう事実が、間接的にはEDの改善に効果を与える場合もあるかもしれません。
ED治療薬 | 医療用漢方 | 精力剤 | |
分類 | 医療用医薬品 | 医療用医薬品 | 指定医薬部外品・第2〜3類医薬品 |
入手法 | 医師から処方 | 医師から処方 | ドラッグストア・薬局ほか |
EDの症状に対して服用 | EDほかの症状に対して服用 | 間接的なED改善のサポート |
*漢方薬は医師から処方される「医療用漢方」と、小売店で市販されるOTC薬品(要指導医薬品、第1~3類医薬品)があります。
代表的な精力剤
これらは昔からいわゆる「精が付く食べ物」として親しまれてきたものです。ただしいずれもEDの改善に直接的な効果があると確認されていません。しかし各々に豊富に含まれるアミノ酸、ビタミン、蛋白質などが男性機能の向上に寄与するだろうということは言うことが出来ます。
マムシ
マムシ(蝮)は、古くから毒消しや新陳代謝を高めるとして使われてきました。年配の方によく知られているのは「赤まむし」と呼ばれる製品です。体の血流量を増加させることから、勃起の強化にも効果をもたらす可能性があります。
スッポン
スッポンは、滋養強壮のための高級食材として提供されてきました。良質なタンパク質が含まれており、男性機能回復のための食材として広く知られています。食材としての使用のほか、錠剤や飲料など様々な形で流通しています。
オットセイ
中国において、自分の体の弱い部分を強くするには、他の動物の持つ同じ部分を食するとよいとする考えがあります。オットセイは多数の雌を従えるハーレムを作り、精力絶倫のイメージがあります。
鹿の角
鹿の角は折れると茸のように急成長するので「鹿茸(ろくじょう)」と呼ばれます。滋養強壮、更年期障害、骨粗鬆症など様々な効能があるとされています。
クマの手
男性ホルモンの体内での生成に必要な亜鉛やビタミンを豊富に含み、滋養強壮に効果があるとされています。消化機能の改善に昔から使われてきた「熊胆(クマノイ)」は胆のうの部分で、手とは異なります。
高麗人参
高麗人参は古くから疲労回復や食欲不振に強い効果があるとして、食材や製剤のかたちで使われ続けてきました。ホルモンバランスが正常化され、血行が良くなることで男性機能が改善するとされています。
マカ
マカは南米産の植物の根から作られる製剤で、近年知られるようになっています。マカには、アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどの栄養素が豊富に含まれており、男性ホルモンのバランスを整える効果があると言われています。
ED薬がどうしても使えない時に
持病や併用薬などの条件で残念ながらED薬が使えない。けれども何とかEDを改善させたい時に、医療用漢方や男性ホルモン剤を検討することができます。ED治療薬の完全な代替手段とはなりにくいですが、ご自身の持つ持病や併用薬を無視することがもちろん出来ない以上、身体の全体的な機能を向上させ、結果的に勃起力の改善につなげることを期待しましょう。
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新宿ウエストクリニック院長
安心の医師略歴・著書、メディア履歴臨床経験豊富な当院医師の論文
Dr. 入江
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