レッグプレスにドローインを統合する方法

レッグプレスにドローイン(腹横筋の引き込み)を統合する方法を、セットアップ→呼吸→1レップの流れ→練習ドリル→チェック方法→よくあるミスと修正→プログラミング→安全注意点まで、そのままトレーニングで使えるレベルで詳しくまとめます。

要点

レッグプレスでは下肢からの力を安定した体幹(胸郭+腰椎)に伝えることが重要。ドローインは「おへそを背骨へ引く」感覚で腹横筋を短縮し腹圧を作る技術で、上体のブレや腰椎の過伸展を抑え、力をスムーズに脚に伝えられるようにするために使います。特に重めのセットや片脚ワークに有効。

1)機種別の前提

  • 45°レッグプレス(斜め)水平レッグプレススミスマーシン版などで姿勢や足の位置は若干異なりますが、ドローインの原理は同じ:セットアップで腹圧を作り、それを保持して押す・戻す。座面角度が違えば肋骨と骨盤の位置調整を少し変えるだけです。

2)ドローインの目的(レッグプレス特有)

  • 骨盤の過前傾・腰椎過反りを防ぐ
  • 踵→膝→股関節への力伝達を安定化
  • 上体の反動(胸郭の前後揺れ)を抑え、膝や腰の代償を減らす
  • 片脚や高負荷での安全性向上

3)1レップの流れ(具体的手順)

  1. 座る/フットプレートに足を置く(セットアップ)
    • 足幅・位置を決める(目安:肩幅〜やや広め、つま先はやや外向き)。膝の角度=深く落とす場合は腰の角度に注意。
    • シートを寄せて背中がしっかり背もたれにつくように調整。腰の隙間に注意(過度な反りはNG)。
  2. ドローインを作る(レップ前)
    • 鼻で軽く吸い、口でゆっくり軽く吐きながらおへそを背骨に向けて引く(腹横筋を短くする感覚)。
    • 引き込んだまま腹に少量の空気を入れて腹部の張り(腹圧)を作る — これで体幹が安定します。
    • 手はグリップやシートに置き、肩はリラックス(肩に力を入れすぎない)。
  3. ラック解除/踏み込み準備
    • ドローインを維持しながらフットプレートに力をかけてラックを解除(機種による)。足全体(踵→外側)でプレートを押す感覚をつくる。
  4. 押す(コンセントリック)
    • ドローインのテンションを保ち、膝と股関節を伸ばしてプレートを押す。胸郭と腰椎の位置を変えないように注意。呼吸は浅めの呼気あるいは短いブレイシング(重負荷時)で行う。
  5. ロックアウト直前/戻し(エキセントリック)
    • ロックアウトしきらない(膝を完全に伸ばし切ることで膝関節にストレスがかかるため注意)程度で止め、コントロールして戻す。戻しのときもドローインは保持し、上体がブレないようにする。戻し終わったら必要なら軽く呼吸を整える。
  6. 次レップへ
    • 連続レップではドローインを切らずに継続。セット間は呼吸を深く整える。

4)ドローインの「強さ」と呼吸戦略

  • 軽〜中負荷(レップ多め):やや強めのドローインを維持しつつ浅い呼吸で動作を継続(息を完全に止めない)。
  • 高負荷(重め、低レップ):セットアップで確実にドローイン→引く直前に短時間のブレイシング(息を軽く止め腹圧最大化)→押し切ったら呼吸を戻す。心疾患・高血圧の方はバルサルバに注意。
  • 片脚・不安定ワーク:ドローインをやや強めに設定して体幹の耐久性を上げる。

5)習得ドリル(段階的)

A. 床でのドローイン(基礎)

  • 仰向け膝立て、手を下腹に置いてドローイン5–10秒×5回。

B. シーテッドでの呼吸→小荷重ドリル

  • マシンに座り軽重量で10–15回。各レップ前にドローインを確認してから動作。

C. テンポ法(コントロール強化)

  • 中負荷で2秒押し・3秒戻す。ドローイン保持の耐久性を鍛える。8–12回×3セット。

D. 片脚レッグプレス

  • 片脚で行うと体幹の暴れが出やすいのでドローイン効果を確認しやすい。6–10回/脚×3セット。

E. ブリッジ+プレスコンボ(コア連動確認)

  • 軽重量で仰向けブリッジしてからシートに座りレッグプレス。骨盤位置とドローインの関係を体感。

6)セルフチェック方法

  • 触診:下腹(おへその横)に軽く手を当て、ドローインで硬さが出るか確認。
  • 動画:横から撮って腰椎の角度が押す・戻すで大きく変わっていないか確認(大きく反るならドローイン不足)。
  • 足の押し方:踵が外れる・つま先に偏るならプレート圧配分を確認。ドローインで体幹が安定すれば改善することが多い。
  • 呼吸チェック:ドローイン時に短く声が出せるか(声が出る=息を止めすぎていない)。

7)よくあるミスとその修正

  • ミス:ドローインせずに胸や肩で押してしまう(上体が反る) → 修正:セット前に必ずドローインを作るルーチンを入れる;軽負荷でフォームチェック。
  • ミス:膝を完全にロックアウトして膝関節にストレスをかける → 修正:ロックアウトは浅めで止める(数センチ手前)。
  • ミス:ドローインが強すぎて呼吸できず力が出ない(お腹をぺったんこにする) → 修正:引き込み+腹部の張り(少し空気を入れる)でバランス。
  • ミス:戻しのときに上体が前後に揺れる → 修正:テンポを落として戻しをコントロール、ドローインを意識。
  • ミス:片脚でバランスを崩す → 修正:片脚前にドローインをより強めに作る。軽重量で反復して安定を養成。

8)プログラミング例(目的別)

  • 筋肥大(大腿四頭筋中心):中負荷 8–12回×3–4セット(テンポ2:0:2、ドローイン維持)
  • 筋力(重負荷):重め 4–6回×4–6セット(セットアップで確実にドローイン/必要に応じ短いブレイシング)
  • アンバランス修正(片脚):6–10回/脚×3セット(ドローインを強めに設定)
  • リハビリ/フォーム習得:軽負荷 12–15回×3セット(テンポ3:2:3、ドローイン重視)

9)進化系・応用

  • スローネガティブセット:ゆっくり戻す(4–6秒)で腹圧維持の耐久性UP。
  • ドローイン+等尺性ホールド:プレートを少し押したまま3–5秒ホールドして腹圧を見極める。
  • パルスレッグプレス:ボトム付近で小刻みなパルスを入れて腹圧と膝の統合を養う(短時間・低重量で)。

10)安全上の注意

  • 腹部ヘルニア、未治療の重度高血圧、心疾患がある方は、腹圧(特に長時間の息止め)を使う前に医師に相談してください。
  • 妊娠中は腹圧の扱いが変わるため主治医の指示に従ってください。
  • マシンのセーフティやストッパーの位置を確認してから重負荷で行うこと。重量が外れると重大な怪我につながります。
  • 重量を増やす際はドローインが維持できる重量に留めること。フォーム崩壊=重量オーバーのサインです。

11)キュー

  • 「いったんおへそを背骨に引いてから押して」
  • 「押しても上体を反らさない」
  • 「踵でプレートを押す感覚を保って」
  • 「戻すときもお腹を緩めない」