男性側プレコンセプションケア
「プレコンセプション（Preconception）」とは、妊娠前（pre）＋受胎（conception）＝「妊娠する前の段階」 という意味です。「プレコンセプションケア」は妊娠を望む前の段階から、心身の健康を整える取り組みのことです。妊娠や出産に備えて、男性と女性の双方が自分の健康状態を確認し、将来の妊娠・出産・子どもの健康に良い影響を与えることを目的としています。男性にも重要な概念です。なぜなら、妊娠は「男女の健康の協働成果」であり、男性の健康状態が受精率・妊娠経過・胎児の健康に影響を与えることが分かっているからです。
男性側プレコンセプションケアの基本的な考え方
1. 精子の質と妊孕性（にんようせい）への影響
精子の状態は、生活習慣や環境因子に大きく左右されます。
精子形成には約3か月かかるため、少なくとも3か月前からのケアが効果的です。
| 要因 | 悪影響 | 改善策 |
|---|---|---|
| 喫煙 | 精子DNA損傷・数や運動率の低下 | 禁煙。電子タバコも避ける |
| 過度な飲酒 | テストステロン低下・精子異常 | 節酒（週2〜3日は休肝日） |
| 肥満・運動不足 | ホルモンバランス悪化・精子質低下 | 有酸素運動＋筋トレの習慣化 |
| ストレス | 精巣機能・性欲低下 | 睡眠・休養・メンタルケア |
| 高温環境 | 精巣温度上昇による精子形成阻害 | サウナ・長風呂・膝上PCを避ける |
| 栄養不足 | 精子膜・DNA合成異常 | 亜鉛・セレン・ビタミンC・E・葉酸の摂取 |
2. 性感染症（STI）の管理
性感染症は男女ともに不妊の原因になります。
クラミジアや淋菌感染は無症状でも、女性に卵管炎を引き起こすことがあり、男性も検査・治療が不可欠です。
また、風しんやB型肝炎など、ワクチンで防げる感染症の確認も推奨されます。
3. 慢性疾患・服薬の確認
糖尿病、高血圧、脂質異常症などは、血流やホルモンに影響を与えます。
また、一部の薬剤は精子や性機能に影響を与えることがあります。
医師に「将来的に子どもを考えている」と相談しておくと安心です。
4. 精神的・社会的な準備
プレコンセプションは身体面だけでなく、家族を迎える心の準備も含みます。
- パートナーとの将来設計や家族計画の共有
- 経済的・職業的な安定の確認
- 育児・家事への参画意識
これらは、妊娠後・出産後の父親のメンタルヘルスにもつながります。
5. 遺伝的・環境的リスクの確認
- 家族に遺伝性疾患がある場合 → 遺伝カウンセリングを検討
- 有害物質（有機溶剤、農薬、重金属など）に職業的に曝露している場合 → 防護策や職場相談が必要
まとめ：男性ができるプレコンセプション行動リスト
禁煙・節酒
栄養バランスの改善（特に亜鉛・葉酸・抗酸化ビタミン）
週3回以上の運動
適正体重の維持（BMI 18.5〜25）
STI検査とワクチン接種
精巣温度を上げない生活
持病や薬の相談
パートナーとの将来設計の共有
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新宿ウエストクリニック院長
安心の医師略歴・著書、メディア履歴臨床経験豊富な当院医師の論文
Dr. 入江
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