腹式呼吸とは
腹式呼吸(横隔膜呼吸)について、医学・運動生理学の視点から「なぜ健康に良いのか・どうやるのか」をわかりやすく解説します。
■ 腹式呼吸(横隔膜呼吸)とは?
横隔膜(おうかくまく)を大きく動かして、吸った息でお腹が膨らみ、吐く息でお腹がへこむ呼吸法のことです。
英語では Diaphragmatic Breathing と呼ばれます。
胸だけで浅く呼吸する「胸式呼吸」に対して、体の深部から酸素を取り込む呼吸法です。
■ 横隔膜とは?
横隔膜は、
- 肺のすぐ下にある薄いドーム状の筋肉
- 呼吸で最も重要な筋肉
です。
位置・役割
肺
│ ←横隔膜
内臓(肝臓・胃・腸)
横隔膜が収縮すると下がり、肺が広がり、空気が入ります。
この動きが腹部を押し下げることで、お腹が自然に膨らみます。
■ 腹式呼吸のメカニズム(なぜお腹が動く?)
吸うとき
横隔膜が下がる
→ 肺が広がる
→ 空気が入る
→ 内臓が下に押され、お腹が膨らむ
吐くとき
横隔膜が緩む
→ 上に戻る
→ 空気が出る
→ 内臓が元に戻り、お腹がへこむ
お腹を動かそうとするのではなく、横隔膜が動いた結果、お腹が動くのがポイントです。
■ 腹式呼吸の効果
① 自律神経を整える
吐く息が長いほど、迷走神経が刺激され、副交感神経が優位になります。
→ リラックス・睡眠質UP・心拍低下
特に「吸う:吐く=1:2〜3」で強力に効果が出ます。
② ストレス・緊張の軽減
胸式呼吸は交感神経優位(緊張)に偏りやすいですが、
腹式呼吸は「心を落ち着かせる呼吸」です。
- 緊張した時
- 会議前
- 寝る前
などに効果的。
③ 酸素供給量UP → 代謝が上がる
浅い胸式呼吸よりも 肺全体が広がるため、酸素の取り込みが増えます。
酸素が増えると、
- 脂肪燃焼効率UP
- 脳のパフォーマンスUP
- 疲労回復促進
が期待できます。
④ 内臓機能の活性化
横隔膜は内臓を上下に「ゆっさゆっさ」とマッサージする働きがあります。
これにより、
- 便通改善
- 胃腸の動き促進
- 内臓の血流アップ
などに役立ちます。
⑤ 肩こり・首の疲れに効く
胸式呼吸では、肩や首の筋肉を使って呼吸するため、
肩や首が疲れます。
腹式呼吸は 横隔膜中心となり、肩や首の負担が減るので、
肩こり改善にも効果的です。
⑥ 姿勢改善・体幹強化
横隔膜がしっかり働くと、
腹横筋・骨盤底筋と連動し、自然と腹圧が高まり、姿勢が安定します。
ドローインと組み合わせると、
体幹トレーニングの効果が飛躍的に上がります。
■ 腹式呼吸のやり方(基本)
◆ ステップ1:姿勢
- 背筋を伸ばす(反らない)
- 肩の力を抜く
- あごを軽く引く
寝ても座ってもOK。
初心者は仰向けが一番わかりやすいです。
◆ ステップ2:吸う(3秒)
- 鼻からゆっくり吸う
- お腹が「自然に」膨らむのを感じる
- 胸でなく、おへそ周りが膨らむイメージ
※ 「無理に膨らませない」ことが大事。
◆ ステップ3:吐く(6〜7秒)
- 口をすぼめて長く細く吐く
- お腹がへこむのを感じる
- 肩が上がらないように
呼吸は 吸う<吐く が基本です。
◆ ステップ4:キープ(2〜3秒)
- 横隔膜が上がりきった感覚
- 腹圧が抜けすぎないよう軽くキープ
これで 1サイクル約10秒。
■ 1回の目安
- 1日5〜10分
- 回数で言うと15〜30呼吸サイクル
慣れると、
「日常生活の中でも腹式呼吸が普通」になります。
■ NGポイント(よくある誤り)
- お腹を力で膨らませる
→ 本来の横隔膜運動ができない - 肩で呼吸する
→ 緊張が増して逆効果 - 息を止める
→ リラックスできない - 胸式呼吸と混ざる
→ お腹だけ動かす練習が必要
■ いつ使うのが効果的?
- 寝る前(睡眠の質向上)
- 起きてすぐ(自律神経の切り替え)
- プレッシャー直前(緊張緩和)
- 運動の前後(体幹活性)
- ストレス過食を止めたいとき
特にダイエットでは
「吸う3:吐く7」の比率が効果的です。
■ 胸式呼吸との比較
| 項目 | 胸式呼吸 | 腹式呼吸 |
|---|---|---|
| 担当筋肉 | 肩・首・胸筋 | 横隔膜・腹横筋 |
| 呼吸の深さ | 浅い | 深い |
| 自律神経 | 交感神経 | 副交感神経 |
| 効果 | 緊張・疲労 | リラックス・代謝 |
| 姿勢 | 不安定 | 体幹安定 |
| 酸素量 | 少ない | 多い |
■ 腹式呼吸が特に効果的な分野
- ダイエット(脂肪燃焼)
- 腰痛予防
- 不安障害・メンタルケア
- 睡眠障害
- 自律神経失調
- スポーツ(体幹の安定)
- 声楽・演劇・歌唱
「呼吸法の基本」と言えるほど普遍的です。
■ まとめ(カンタンに)
腹式呼吸=横隔膜を動かす深い呼吸。
吐く息を長くすると副交感神経が優位になる。
姿勢・内臓・心・脳に良い。
ダイエット・ストレス・睡眠すべてに効果的。








