バルデナフィルの禁忌 リオシグアト、CYP3A4を阻害する薬剤を投与中の患者

バルデナフィルの禁忌でリオシグアト、CYP3A4を阻害する薬剤(リトナビル、インジナビル、アタザナビル、サキナビルメシル酸塩、ホスアンプレナビル、ロピナビル・リトナビル、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル、ダルナビル、テラプレビル、ケトコナゾール(外用剤を除く)、イトラコナゾール、コビシスタットを含有する製剤)を投与中の患者とは?

バルデナフィル(レビトラ系PDE5阻害薬)の禁忌のうち、「リオシグアト、CYP3A4阻害薬を投与中の患者」がなぜ禁忌なのかを、作用機序・リスク・具体例に分けて詳しく解説します。


① リオシグアト(可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬)投与中の患者

■ リオシグアトとは

  • 肺高血圧症(CTEPH / PAH)の治療薬
  • NO–cGMP系を直接刺激し、血管拡張を強力に起こす薬

■ なぜ禁忌か(機序)

  • バルデナフィル:
    PDE5阻害 → cGMP分解を抑制 → 血管拡張
  • リオシグアト:
    cGMP産生を促進 → 血管拡張

両者を併用すると cGMPが過剰に増加
制御不能な全身性血圧低下

■ 想定される重篤リスク

  • 失神
  • ショック
  • 急性腎不全
  • 心筋虚血・脳虚血

用量調整では回避不能なため「絶対禁忌」


② CYP3A4を強力に阻害する薬剤を投与中の患者

■ バルデナフィルの代謝

  • 主代謝酵素:CYP3A4
  • 一部:CYP3A5、CYP2C9

CYP3A4阻害薬併用=血中濃度が異常上昇


③ 禁忌とされている主なCYP3A4阻害薬と分類

● 抗HIV薬(プロテアーゼ阻害薬)

極めて強力なCYP3A4阻害作用

  • リトナビル
  • インジナビル
  • アタザナビル
  • サキナビルメシル酸塩
  • ホスアンプレナビル
  • ロピナビル・リトナビル配合剤
  • ダルナビル
  • コビシスタット含有製剤

リトナビルは「ブースター」として意図的にCYP3A4を阻害


● 抗C型肝炎ウイルス薬

  • オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル
  • テラプレビル

リトナビル含有=実質HIV薬と同等の阻害力


● アゾール系抗真菌薬(内服)

  • ケトコナゾール(※外用除く)
  • イトラコナゾール

外用(軟膏・クリーム)は全身吸収が少ないため禁忌外


④ 併用した場合に起こり得る副作用

血中バルデナフィル濃度が数倍〜十数倍に上昇し:

  • 重度低血圧
  • 失神
  • 頻脈・不整脈
  • 視覚障害(色覚異常・視力低下)
  • 持続勃起症(priapism)

減量・隔日投与でも安全域を確保できない


⑤ なぜ「慎重投与」ではなく「禁忌」なのか

理由 内容
代謝阻害が極端 血中濃度予測不能
半減期延長 作用が24時間以上持続することも
重篤例報告 低血圧・失神の報告あり
代替手段あり ED治療は他選択肢がある

⑥ 臨床上の重要ポイント(実務向け)

  • HIV・C型肝炎治療中=ED薬原則不可
  • 「飲み薬を止めたからOK」ではない
    CYP阻害作用は数日~1週間持続
  • 個人輸入ED薬は併用リスクが最も高い

まとめ(要点)

  • リオシグアト併用:cGMP過剰 → 致死的低血圧
  • CYP3A4阻害薬併用:血中濃度暴走 → 重篤副作用
  • いずれも 用量調整不可=絶対禁忌