2-7 輸入薬を処方しているクリニック

ED克服の最前線「性欲はガソリン、精力はエンジン」令和版 (フリーエディション)

当院がED治療薬処方を専門に始めた2000年頃には、処方専門クリニックは当院しかなかったのですが、当院が有名になってくると多数の競合クリニックが参入してくるようになりました。インターネットでの告知が主な広告手段となりますが、各クリニックの過当競争に入るわけです。そうしたなかで、2013年頃から厚労省が承認した国内正規のED治療薬ではなく輸入薬を処方するクリニックが開業してくるようになりました。

本誌前半部でも記述しましたが、インドなど一部の国ではジェネリック薬という概念がなく、特許期限内の薬でも製造過程が違えば同じ成分でも発売できるという法のもと、バイアグラ等のED治療薬と同成分の薬が、正規のルートで発売される以前から販売されており、それらをインターネットの個人輸入のサイトで買うことができました。これらはコピー薬とも呼ばれており、安い価格で流通しています。

インターネット通販では偽造薬が54％と、メーカーの抜き打ち検査による分析結果にもあるように、国内正規薬にくらべて健康被害に至るリスクをかかえています。それらの輸入薬を処方するクリニックでは、サイト上では輸入した海外製剤は正規の手続きを経たものであると称していますが、これらは厚労省が許可した製剤ではなく、国内未詳認薬です。薬の輸入に必要な薬監証明をとったということに過ぎません。この薬監証明というのは、薬と証明という字が含まれているので誤解されやすいのですが、薬が純正薬という意味ではないのです。

薬監証明というのは医薬品を輸入するために通関に提出する書類のことで、輸入した薬が純正薬という証明書ではありません。これらの輸入薬は原価も非常に安価で、それらを処方しているクリニックのサイトの価格表に国内最安値とか10錠で２錠オマケなどとうたったりしています。一応、国内正規薬も少しながら仕入れてはいるようですが、処方に際しては強力なトークで輸入薬を勧めるのが共通しており、国内正規薬はなかなか処方してはもらえないようです。

これら輸入薬はバラの錠剤をビニール入りにして処方されているようです。シートに入っている場合もありますが、日本語の記載が一切ありません。国内正規薬はシートに必ず日本語で薬品名の記載がありますので、正規のED治療薬をすでに使っている方なら、それが国内正規薬のように日本語の記されたシートに入っていないので違いに気づくのですが、初めて処方を受ける方ではED治療薬はそんなものかと疑うこともなく値段につられてリピートしてしまう場合もあるのです。

これら輸入薬の問題点は国内未承認であるため、偽造薬が混入するリスクもあり、重い副作用がでても医薬品副作用被害救済制度がまったく適応されず、すべて自己責任となります。医薬品副作用被害救済制度というのは、　→この続きはAmazonか、院内受付（新宿・渋谷）で手に入る書籍でご覧ください。

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