ザガーロの禁忌にある女性とは

ザガーロの添付文書にある女性:「重要な基本的注意」および「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の記載が意味するところを解説します。


要点

  1. 女性には投与しない・触れさせないことが原則。ザガーロの有効成分(デュタステリド)は皮膚から吸収され得て、胎児(特に雄胎児)の外性器発達に影響を与える可能性があるためです。
  2. 授乳婦への投与も行わない(ヒト乳汁へ移行するかは不明だが投与禁止)。
  3. カプセルが破損して薬剤が漏れた場合、女性や小児が触れないようにし、触れたら直ちに石鹸と水で洗う。 カプセルの取り扱い・保管に注意が必要。
  4. 服用中の男性の精液中に微量のデュタステリドが検出される報告があり、パートナーが妊娠中(特に妊娠初期:胎児外性器が形成される最初の数か月)であれば性交時にコンドームを使うことが推奨される場合がある。 また、献血は投与中および投与中止後一定期間(ガイドにより最長6か月)は避ける。

なぜこのように書かれているのか

  • 作用機序:デュタステリドは5α還元酵素を阻害してジヒドロテストステロン(DHT)を減らす薬です。DHTは胎児期における雄の外性器発達に関与するため、妊娠中の女性がデュタステリドに曝露されると雄胎児に発生学的影響(雌性化など)が起きる可能性があると考えられています。これは動物実験での所見と薬理学的機序の組み合わせに基づく判断です。
  • 経皮吸収の可能性:カプセルが割れて中身(軟カプセルの油剤)が皮膚に付着すると皮膚吸収され得るため、女性や小児が直接触れないように注意喚起されています。
  • 精液への移行:臨床データでデュタステリドが精液中に検出されることが示されており(検出量は微量)、それを介した母体・胎児への影響の可能性を完全には否定できないため、妊娠中のパートナーがいる場合の性交時の注意(バリア法使用)が各国の製剤情報で推奨されています。

添付文書の各項目を解釈

「重要な基本的注意」

  • 「経皮吸収されることから、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないこと」:→ カプセル破損時の接触回避と、触れた時は石鹸で洗うこと。家庭内保管は子供の手の届かない場所に。
  • PSA等検査への影響など(男性向け注意):男性の検査解釈に関する注意も重要(前立腺特異抗原値に影響)。これは女性向けではないが添付文書では同じ「重要な基本的注意」に含めているので、医師は患者教育を行うべき。

「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」

  • 女性には投与しない:→ 女性患者に対する投与禁忌(本剤は男性型脱毛症の治療薬であり、女性には適用がない)。
  • 男性が服用している場合の配慮:男性が投与されているときに、パートナーが妊娠中であれば精液を介した曝露を避ける(コンドーム使用の勧め等)。また、献血に関する制限(投与中および投与中止後一定期間、国や製品で指示あり)も記載されることが多いです。

具体的対応

  1. 女性(妊娠中/妊娠の可能性がある)には投与しない。
  2. 家庭内での保管・取り扱い指導:子供・妊婦が触れない場所に保管。カプセルが破損して薬剤が付着したら触れた人は直ちに石鹸と水で洗う。
  3. 妊娠中のパートナーがいる場合の性交上の注意:精液中への移行があるため、パートナーが妊娠している・妊娠の可能性がある場合はコンドーム使用を推奨する情報が製剤情報にある(国による推奨表現の差はある)。
  4. 献血制限:投与中および投与中止後一定期間(製剤情報での指示に従う・例:6か月)献血しないよう指導する。
  5. 万が一の曝露時対応:妊婦が破損カプセルに触れた場合は直ちに洗浄し、担当医へ連絡。妊娠継続の可否や妊娠初期の経過観察については産科と相談。