頻尿と全身的な病気

頻尿は、泌尿器系の疾患だけでなく、全身的な病気が原因で起こる場合もあります。これらの病気は、体全体の代謝や血流、ホルモンバランス、神経系に影響を与え、頻尿を引き起こします。以下に、主な全身的な病気とその頻尿との関係を解説します。


1. 糖尿病

糖尿病では、血糖値が高くなると腎臓での再吸収能力が低下し、尿中に糖が排泄されます。これに伴い、水分も一緒に排泄されるため、頻尿が起こります。

主な症状

  • 頻尿(特に夜間頻尿)
  • 多尿(尿量が増える)
  • 口渇(のどが渇く)
  • 疲労感

メカニズム

  • 高血糖により尿中に糖が排泄され、それに伴って水分も失われる(浸透圧利尿)。

対策・治療

  • 血糖値の管理(食事療法、運動療法、薬物療法)
  • 糖尿病が原因の場合、根本的な血糖コントロールが必要

2. 心不全

心不全では、心臓のポンプ機能が低下するため、体内に水分がたまりやすくなります。特に夜間、体を横にすることで腎臓への血流が増え、尿が生成されやすくなり夜間頻尿を引き起こします。

主な症状

  • 夜間頻尿
  • 息切れや動悸
  • 足のむくみ
  • 倦怠感

メカニズム

  • 体内の水分バランスの調整が崩れることで、夜間に腎臓が活発になり尿量が増加。

対策・治療

  • 利尿薬の使用で余分な水分を排出
  • 心不全の治療(薬物療法、生活習慣の改善)

3. 高カルシウム血症

血液中のカルシウム濃度が異常に高くなると、腎臓の働きに影響を及ぼし、尿量が増えることがあります。

主な症状

  • 頻尿
  • 多飲(のどの渇き)
  • 疲労感や倦怠感
  • 腹痛や吐き気

メカニズム

  • 高カルシウム濃度により腎臓での濾過が活発になり、尿量が増加。

対策・治療

  • 高カルシウム血症の原因(副甲状腺機能亢進症、骨疾患など)の治療
  • 水分補給やカルシウム値を下げる薬の投与

4. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に呼吸が止まることで体内の酸素不足が生じ、腎臓にかかる負担が増加します。その結果、尿を作るホルモン(ANP:心房性ナトリウム利尿ペプチド)が分泌され、夜間頻尿が引き起こされます。

主な症状

  • 夜間頻尿
  • いびき
  • 日中の眠気や疲労感
  • 頭痛

メカニズム

  • 無呼吸により心臓に負担がかかり、利尿ホルモンが分泌される。

対策・治療

  • CPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療
  • 睡眠習慣や体重管理

5. 腎不全

腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物の排出がうまくいかなくなり、初期段階では尿量が増加することがあります。慢性腎不全の場合、進行すると尿量が減少することも。

主な症状

  • 頻尿(初期)
  • 尿量減少(進行時)
  • むくみ
  • 倦怠感

メカニズム

  • 腎臓の濾過機能が低下し、体液バランスの調整が乱れる。

対策・治療

  • 原因疾患の治療(糖尿病、高血圧など)
  • 腎機能を維持するための食事療法と薬物療法

6. 加齢によるホルモンバランスの変化

加齢に伴い、抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が減少することで尿量が増え、頻尿が生じることがあります。特に夜間に尿が出やすくなるのが特徴です。

主な症状

  • 夜間頻尿
  • 尿量が増える
  • 排尿感の変化

メカニズム

  • 加齢により抗利尿ホルモンが減少、尿が濃縮されにくくなる。

対策・治療

  • 水分摂取のタイミングを調整
  • 夜間頻尿の改善薬(抗利尿薬など)

7. その他の全身的な疾患

  • 甲状腺機能異常: 甲状腺ホルモンの過剰分泌や不足が頻尿に影響。
  • 神経疾患: パーキンソン病や多発性硬化症などの神経疾患により、膀胱の神経支配が乱れる。

まとめ

全身的な病気が原因の頻尿は、症状の背景にある疾患の治療が重要です。以下のような場合は、医師の診断を受けることをお勧めします:

  • 頻尿が生活に支障をきたす
  • 夜間頻尿が続く
  • 他の症状(むくみ、疲労感、血尿など)がある

早期の診断と治療が、根本的な改善につながります。