女性のAGAとは

女性のAGAとは

まず、男性の場合の男性型脱毛症(AGA、Androgenetic Alopecia、Androgenic Alopecia、Alopecia Androgenitica)とは、思春期以降に発症する進行性の脱毛症のことです。AGAの典型的な経過では脱毛はこめかみの上から始まり、生え際の後退により特徴的な「M字」パターンとなります。また、頭頂部の毛髪は細くなり、薄毛や禿髪となります。Androgenetic Alopecia を正確に訳せば「男性ホルモン型脱毛症」となります。「男性型脱毛症」とは本来 Male-Pattern Hair Loss (MPHL) やMale-Pattern Baldness として分類されていますが、日本では「男性型脱毛症」が一般的になっています。

国内外では、女性の場合には女性型脱毛症(Female-Pattern Hair Loss (FPHL))という分類であり、Female Pattern Baldness(Androgenic Alopecia)またはFemale Pattern Hair Lossと表記されます。国内においては商業的に「女性男性型脱毛症」(Female AGA, FAGA)と表記している医療機関もありますが訳が正しいとは言えません。「女性の男性ホルモン型脱毛症」と記せばわかりやすいと思います。男性のパターンとは異なり生え際のラインは変わらずに頭頂部・前頭部を中心に頭部全体の毛髪が細くなる傾向があります。完全な禿髪になることは稀です。

AGAは遺伝的な要素が大きく関わり、男性ホルモンのジヒドロテストステロン(Dihydrotestosterone, DHT)の作用によって引き起こされます。男性ホルモンは胎児期と思春期の男性生殖器の発達に重要であり、また男女ともに毛髪の成長と性欲に重要な働きをもっています。

FAGA(女性男性型脱毛症)とフィナステリド

本来、フィナステリドは男性にのみ処方されます。男性胎児に対して深刻な先天奇形を来たす危険があるため、妊娠している女性や妊娠可能な年齢の女性は触れるのも避けなければいけません。フィナステリドは女性の脱毛症には効果がないという研究がある他方、フィナステリドを支持する医師、研究者は、閉経後の女性を対象に行なわれ、テストステロンの感受性に影響を与えるエストロゲンの減少が脱毛に関与しているという考え方からフィナステリドを処方すると効果があるという考え方も存在しています。また、男性ホルモンに対して感受性を持つ毛包のある女性であれば、フィナステリドは効果があるという研究も確認されています。医師の中には、閉経後や妊娠できない女性や、きちんと避妊をしてくれる女性に対してはフィナステリドを処方する場合も確認されています。

※当院では各処方薬および製薬メーカーの添付文書、指導に基づきFAGA、FPHL、FPB等のための処方はおこなっておりません。

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References

・Kanehisa Laboratories (KEGG)
女性に対する適応はない。[海外のフィナステリド製剤で実施した閉経後女性の男性型脱毛症を対象とした12ヵ月間のプラセボ対照二重盲検比較試験(n=137)において、フィナステリドの有効性は認められなかった。

・U.S. National Library of Medicine (NLM)
Androgenetic alopecia

・Harvard Medical School
Treating female pattern hair loss

・Female pattern hair loss:
A clinical, pathophysiologic, and therapeutic review

・BRITISH ASSOCIATION OF DERMATOLOGISTS
FEMALE PATTERN HAIR LOSS (ANDROGENETIC ALOPECIA)